サーシャの病歴について、② FIPの疑い/治療 (日本)に続き、今回はイギリスでのFIPの治療の記録です。
- Part 1:23年4月〜24年3月 慢性的に続く下痢
- Part 2:24年4月〜24年6月 FIPの疑い/治療 (日本)
- 本記事 – Part 3:24年7月〜24年12月 FIPの疑い/治療 (UK -前半)
- Part 4:25年1月〜25年3月 FIPの疑い/治療 (UK -後半)
- Part 5:25年4月半ば 症状悪化 → 救急病院へ
- Part 6:25年4月後半 二次診療で詳細検査実施(FIPではない。原因不明)
イギリスへ引っ越し
渡航前日の検査結果で、高い炎症値から悪化傾向にある中渡航をさせるのはとても不安でしたが、食欲は変わらずあり、活動性も昔のサーシャと比べると大人しいですが、明るく元気だったため持ちこたえてくれると信じ、オックスフォードに向かいました。また、日本の先生からは、渡航後1週間程度を目処にサーシャの様子と炎症値の変化を診てもらうよう言われていたため、渡航前から気になるクリニックはオックスフォード内で探していました。
6/17に無事オックスフォードに到着し、体調にも大きな変化はなくサーシャの状態は安定していたため、渡英後初めの1週間は、住まい探し(渡航後3週間はAirBnBのアパートに滞在、至急家を探す必要があった)、ペット保険への加入、検討している引越先のエリアから通えるペットクリニック探しに注力しました。
炎症数値の改善 – 各検査結果の記録(2024年)
猫専門且つ評価の高いクリニックを見つけることができ、渡航後9日目にイギリスで初めての血液検査を実施した結果が以下です。イギリスではSAAの数値は使われることが少ないようで、外部検査機関に委託する必要があるため、毎回血液検査実施から、結果の連絡を受け取るまで約3-5日かかりました。
24年6月24日 検査実施(血液検査のみ)
- 体重:3.5 KG
- SAA:30.40μg/mL ※前回値:84.21μg/mL
— 以下は日本と単位が異なるため、前回値省略 —->>
- WBC:21.10 ※結果に記載の正常値:2.87 – 17.02 x10^9/L
- NEU :14.42 ※結果に記載の正常値:2.30 – 10.29 x10^9/L
- GLOB:47 ※結果に記載の正常値:28 – 51 g/L
長時間の移動に耐え、新しい環境に変化した直後にもかかわらず、全ての値が良くなっていました。そこで、6/27 (SAAの結果が出た日)以降はプレドニゾロンの一日の服用量を3/4錠から1/2錠に変更、その後、各日に1/2錠服用まで減らし、7月1週目に服用を終了しました。
この血液検査の実施から2週間後を目処にSAAの再検査と腹部のエコー検査を予定していたのですが、サーシャの後ろ足のしこりが日に日に大きくなり、日本にいる間は肉球の間の毛の中に隠れている小さなデキモノのようなものだったのが、しこり部分は毛もなくなり、肉球の半分くらいのサイズにふくらんでいました。そのため、7/11の受診時には、腹部エコーは中止し、血液検査と足のしこりのFNA検査を実施しました。
24年7月11日 検査実施(SAA検査としこりのFNA検査)
- 体重:3.6 KG
- SAA:59.6μg/mL (上昇)
- 腫瘤 FNA検査:軽度の炎症。これ以上大きくなりサーシャが気にする場合、切除を要検討。
SAAの値が少し上昇していたのですが、プレドニゾロン服用中止したため(FIP以外が原因の可能性もある)という会話をしつつ、一旦モルヌピラビルのみの服用で様子を見続け、2週間後に再度SAAの検査をすることになりました。
24年8月2日 検査実施(SAA検査)
- 体重:未計測
- SAA:46.9μg/mL (前回より減少 – ただし、正常値より非常に高い)
- しこり状況:サイズは少し大きくなっている(?)
SAAの値が下がり傾向にあったのですが、再度2週間後に検査をし、値が上がっていればレントゲンとエコー検査を、また麻酔が必要になるため、同時に腫瘤摘出も実施する旨のお話をいただきました。
その後、詳細の記録が残っていないのですが、8/16にモルヌピラビルの服用(84日間のコース)は終了し、2週間後のSAA検査は未実施のまま、8/27にしこりの切除と腹部レントゲン、エコー検査を実施しました。
24年8月28日 検査実施(血液検査・腹部レントゲンとスキャン・腫瘤摘出)
- 体重:3.6 KG
- 血液検査 ※以下は正常値から外れていた主要項目
- SAA:6.31μg/mL (前回より減少 – ただし、正常値より高い)
- WBC:18.41
- HCT:0.258 ※結果に記載の正常値:0.303 – 0.523 L/L
- NEU:14.29
- 胸部レントゲン
- 肺には異常無し。曇りも無し。
- 胸骨前リンパ節の腫大なし。左側面像では腫大が見受けられるが、右側面像は問題無し。
- 腹部スキャン
- 腹部全体に軽度腫大したリンパ節が多数認められる。
- ほとんど4mm以下であるが、5-6mmのものもある。7mm以上のリンパ節はない。
- 腎臓:リムサイン無し
- ただし、軽度の貧血(non-regenerative anaemia)と軽度の好中球増多がみられる。
- 鉄分検査を追加で実施:鉄分とトランスフェリン飽和度が低いため、鉄欠乏症が貧血の一因となっている可能性が高いと診断(9/4に連絡をうける)
- ただし、軽度の貧血(non-regenerative anaemia)と軽度の好中球増多がみられる。
- 腹部全体に軽度腫大したリンパ節が多数認められる。
- 腫瘤摘出
- 摘出した腫瘤を詳細検査にかけた結果が以下(9/2に連絡をうける)
- 原因は不明。炎症パターンから感染性の病因が最も示唆される。Mycobacterium speciesが考えられるため、追加でZN染色とPAS染色の検査を実施。
- 結果、ZNとPAS共に未検出
- FIPとの関連性は低い
- 原因は不明。炎症パターンから感染性の病因が最も示唆される。Mycobacterium speciesが考えられるため、追加でZN染色とPAS染色の検査を実施。
- 摘出した腫瘤を詳細検査にかけた結果が以下(9/2に連絡をうける)
各詳細検査の結果、SAAの値は落ち着いてきており、エコー検査でも、前回の日本で確認したときよりもリンパの腫れが少し小さくなっていることが確認できたので、FIPの治療としては終了することになりました。また、しこりのFIPとの関連性は低く、今後同じようなしこりが出てこないかは要観察、ただし現状は特に問題はないとのことでした。鉄分不足については、9/8に注射(CosmoFer 50mg/ml 0.5 ml)をしてもらい、その後は再検査は不要、ただし、1ヶ月後にSAA含めた血液検査を実施する旨の会話をしました。
8/28に麻酔をかけた検査を実施後、サーシャが毎日咳をするようになったため、9/8に病院で診てもらったのですが肺に異常無し、様子をみてくださいと言われ、特に薬を処方されることなく終了しました。
そして次に定期検診として血液検査を実施したのが10/18です。
24年10月18日 検査実施(血液検査)
- 体重:未計測(ただし、8月から大きく増加はしていない)
- SAA:17.7μg/mL (悪化)
- WBC:18.89
- HCT:0.32 (Ironの注射により改善)
- NEU:12.3
FIPの治療としては終了したはずが、SAAの値が悪化していることがわかりました。また、NEUの値も悪く、咳も続いており、体重も増えていないため、私達も再び不安になってきました。検査結果のお話を効くタイミング(10/23)で、これらの症状を落ち着かせるために、抗生物質が10日間分(Clavaseptin tablets 62.5MG X 500) 処方され、服用終了後しばらくおいてから再度血液検査をする旨が伝えられました。
その後、抗生物質のおかげなのか一時的に咳の症状は改善し、11月半ばには体重が3.9KGと、ほぼ昔の最大値まで戻りつつあったのですが、再び12月以降に咳が続くようになり、また、昔のサーシャのような元気さは戻ってきていないことについても心配していました。(実は11月から12月半ばまでの会話の履歴やデータが残っておらず、次に血液検査を試みたのが12/23になります—>)
前回の検査から2ヶ月ほど経った12月後半にクリニックに伺ったのですが、今までの先生とは違う先生が担当で、血液の採取に失敗されまいました。何度も血を採ろうとするのですが出てこず、且つイギリスでは首元の毛をバリカンで剃って血液採取をします。何をされても大人しい(腫瘤の抜糸のときも先生が驚くほど静かで動じない)サーシャでも何度も失敗され、場所を変えてバリカンで毛を剃られ血液採取を試みられるうちに嫌がるようになり、その日は何もできずに帰宅となりました。(この時は本当に可哀想で見ていられなかったです)
これを機に、再度失敗された時の診断の遅れやサーシャのストレスと負担、FIP治療終了後にSAAの値が悪化しているにも関わらず、対応が遅いなど不安な要素がいくつかあったため、病院を変えることにしました。2025年以降の治療経過は次の記事でお伝えします。
服用していた薬の記録(2024年6月 – 2024年12月)
2024年に服用したお薬を以下に記録として残します。
- モルヌピラビル(84日間のコース)- 粉薬
- 2024/5/25 – 2024/6/14 :15mg/kg bid
- 2024/6/15 – 2024/8/16 :18mg/kg bid
- プレドニゾロン – 錠剤
- 2024/6/2 – 2024/6/26 :1mg/kg sid (毎日3/4錠)
- 2024/6/27 – 2024/7/10 :1mg/kg sid (毎日1/2錠 → 各日1/2錠に途中で変更)
- COSMOFER INJ 100MG/2ML -注射
- 2024/9/8 一度のみ
- CLAVASEPTIN PALT TABS 62.5MG X 500 – 錠剤
- 2024/10/23 – 2024/11/2 :毎日2錠
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